センサーによる害獣捕獲檻開発

(1) スマートセンサーを用いた害獣捕獲

近年、全国各地で野生動物による被害が問題化しています。なかでもシカやイノシシによる被害は深刻で、狩猟や捕獲による個体数調整が盛んにおこなわれるようになりました。
捕獲には、銃による巻き狩りやくくりわな、固定式・半固定式の大型ワナ等が用いられるのが一般的ですが、狩猟者数の減少や高齢化などにより、捕獲数の減 少が懸念されています。また、固定式・半固定式の大型ワナでは、時間の経過と共に捕獲効率が低下する傾向が明らかになっており、耐久性の低下した放置ワナ にクマが誤って捕獲されるなどの問題も生じています。

こうした状況を受けて、当研究チームでは特殊な狩猟技術がなくても、少人数で効率的かつ選択的にシカを捕獲でき、少ない労力で移動できる2種類のスマートセンサーを開発しました。
スマートセンサーとは、動物の動きを感知する様々な種類のセンサーから送られてくる情報を整理し、頭数や獣種を判定する「頭脳」をもったセンサーシステムの総称です。今回開発した「頭数カウントセンサー」「獣種判別センサー」は、いずれも画像情報を解析するプログラムを搭載しています。

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本研究は、総務省の委託を受けて、兵庫県立大学、アサヒ電子研究所との共同研究という形で実施しました。RIISの担当した部分は、スマートセンサーを活かすための支援装置として、ハードウェアに関わる分野を担当しました。

 

(2) 無線による小型落下装置

我々の研究の主な成果は無線を用いた小型落下装置で、必要なときに無線を介して、檻やわなの扉を自動的に閉じる落下装置です。
今回の研究のように、PCやリモコンなどから発信された信号を受信して駆動させるためには、電子的な落下装置が必要となりますが、従来では自動車用の バッテリーを電源に用いる場合が多く、設置する場合は重く面倒な作業が必要でした。そこで、我々はできるだけ小型軽量で安価に設置できる小型落下装置を開 発しました。

原理は以下の図のように、エアボンベを用いることで乾電池を電源として、数十Kgの重量がある檻やわなの扉・網などを落下させることが出来ます。

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本機は、5度にわたる試作を行い、特許を出願しました。
実際には、以下のようなイメージで、使用します。

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(3) 野生動物対策におけるスマートセンサーの活用

2011年12月15日には、「野生動物対策におけるスマートセンサーの活用」という
テーマで、神戸市産業振興センターにて報告会が開催されました。

当日は、森林動物センターの林所長のお話や坂田研究員らのお話の後、本研究の要旨の説明が
ありました。

・今回開発した「頭数カウントセンサー」と「獣種判別センサー」の開発についての技術や効果
・スマートセンサーを活かすための電子トリガーの開発
・スマートセンサー活用の可能性

などについて、報告されました。

当日の会場の様子は次のようでした。

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