案山子ロボット

開発の目的

野生動物による農作物被害は全国的に深刻化している。
野生動物による農作物被害の軽減は、農山村地域社会の活力低下の阻止や機能回復に貢献するだけでなく、都道府県や市町村の農業被害対策に対する経済的負担を軽減するという意味においてもきわめて重要である。野生動物による農作物被害に対してはさまざまな対策が実施されている。
この中でも田畑の監視や野生動物の追い払い対策は最も簡便な方法であり、昔から実施されている。しかし、人間がその役務を担当しようとすれば、時間的な制約などで無理が生じるので、従来より人間に代わって案山子や脅しなどを用いて、野生動物を駆逐するのに広く利用されている。
また、風や水などを利用して自然動力で簡単な動きを与えたり、音を出すなどの機能が付加される様になったが、野生動物側でも学習能力と慣れがあり、その装置が危害を加えないと分かるとそのうち効果をなさなくなってしまう。
そこで、人間のような動きを与え、多少の攻撃能力を有する電子的駆動装置とそれを制御するネットワークを備えた簡便な案山子ロボットを開発することにした。

 

案山子ロボットの概要

RIISで設計中の案山子ロボットの主な機能は以下の通りである。

  • 野生動物が接近してくればスイッチが入る。
  • 光や、音、簡単な動きで、野生動物を追い払う。
  • その様子をカメラで撮影し、ネットワークを通じて設置者に伝える。
  • 設置者は、その様子を観察してより効果的な動作を行う。

というものである。

そのために、次のような案山子ロボットを開発している。

  • 案山子ロボット本体に暗視カメラを付加し、接近した野生動物の画像をネットワークで送信する。
  • 案山子ロボット本体に音や光を出す装置を付加して、ネットワークを介して駆動する。
  • 案山子ロボット本体に簡便な防御装置を付加して、野生動物を威嚇する。

ちなみに、製作中の案山子ロボットは次のようなイメージとなっている。

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RIISで作成中の案山子ロボット


ネットワークとの接続は有線もしくは無線で、インターネットに接続することによって、多くの案山子ロボットがIPアドレスを持つことになり、それぞれの設置者が任意の案山子を制御することができ、案山子ロボットの機能を活用することによって、希望する方法で野生動物と対決することができる。

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この方法を活用すると、センターで多くの案山子を一括管理することも可能である。

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